セクシュアリティの近代
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「男性のセクシュアリティについては、あまり語られてこなかった。男は、女の身体やセクシュアリティばかりでなく、自分自身のそれについても無知であり続けている」という自戒を込め、広い視野から近代のセクシュアリティに対して考察されたのが、本書です。
第5章では「男らしさ女らしさの神話」と題して、大正・昭和の初期の婦人雑誌の記事を通じて、当時の性の意識のあり方や、「らしさ」という社会的な病が生まれて行くまでを追っています。婦人雑誌「主婦の友」の「娘と妻と母の衛生読本」を取り上げ、その内容を引き合いに、そこに込められた意図を探ります。そして、結果的に女性のセクシュアリティを囲い込んでしまい、女性らしさという病を生み出したことを順を追って指摘しています。
また面白いのは、「娘と妻と母の衛生読本」は女性向けでありながら男性に関する記述も多く、男性のセクシュアリティに対しても同様の“らしさ”の病を生むことになったという視点です。女性の問題解決のための情報それ自体が、男性を“らしさ”で囲った上でのものであることがその原因ということです。
あわせて興味深いのは、「男らしさ女らしさ」から外れてしまう部分を“治療するため”の情報も雑誌広告によって読者に伝えられており、これらが補完するかたちで「らしさの病」がこの時代に浸透していったと指摘する部分です。
本書は、明治、大正、昭和初期の性を追うことで、最後には母性愛というキーワードを絡めつつ進んで行き、読者に“性家族”の実際とその現在との共通点の多さを感じさせてくれます。